フランスに留学して(住んでみて)変わったこと

2024年に2年間かかったフランスでの修士課程が終わりました。長かったような短かったような。

この機会にフランス留学で変わったことをまとめてみようと思います。

留学して変わったこと

自分の考えを持ち、話すことができるようになった

フランスの留学中に、自分の考えを簡単に発言できるようになりました。

考えを気楽に話せるようになった理由はこんな感じだと思います。

  • そもそもフランスは自分の意見を持つことが重要視されている。
  • 私はフランス人ではないので、フランス人とは違う意見を持っていることが当たり前。他の人とそもそも意見が合うと言う前提が成り立たない。
  • 留学をして自分の専門性が高まり、論理的に発言をできるようになった。

そもそも意見を言う文化のあるフランスに、バックグラウンドが違う外国人として暮らしたことで、「そもそも意見が違うのは当たり前」「別に間違えていてもいいや」と言う感覚が芽生えるようになりました。

自分と異なる考え方を持っている人に触れ合えた

フランスに留学をすると、まずはフランス人に囲まれることになるかと思います。

フランスは日本と同じく先進国ではありますが、食事、服装、文化、言語など多くの点で日本とは違う。

今まで自分が日本にいてある程度同じ環境で育った人たちと話していた時とは異なり、考え方が違うなと感じる日々を過ごしました。

また、特に留学中は、フランス人だけではなく、他の国からくる留学生たちと交流をします。

留学中といえど、「勉強」「テスト」「成績」に関して考え方が違ったり、グループワークをするときに価値観の違いに戸惑ったりしました。

だからこそ、「自分は他の人と考え方が違うんだな」と改めて実感することができました。

単身で海外で生活することの大変さを知った

私は今まで海外に旅行に行くことはあっても、長期的に移住するということはありませんでした。

一人で環境が全く違う国に住み、外国語でコミュニケーションをとり、自分の知らない行政システムと戦わなければいけない。

留学をしなければ、日本の中で「多数者」としてさまざまな恩恵を無自覚に享受してい環境でした。

自分が一人で全てを行わなければいけないと言う状況に慣れることができ、自信がつきました。

私生活で変わったこと

人の目が気にならなくなった(なってきた)

フランスに住んでいて、人の目が気にならなくなりました。

日本にいたことは、自分の服装、見た目に必要以上に気を使っていました。また、街中で他人に見られると「自分何かおかしいのかな」「他の人と違うのかな」と言う不安に駆られていました。

しかし、フランスにきて、感覚に変化が。

そもそも、フランスは服装に気を使う人は日本人より少ないように感じますし、人種・文化も多様です。

日本のようにメディアに完全に統一化された文化はあまり存在しないように感じます。

自分は一人の外国人として生活している中で、別に人にどのように見られてもいいかなと思えるようになりました。

お金を使わなくなった。使い方を考えるようになった。

日本にいた頃には、「遊びに行く」=「外でお金を使う」と言う感覚でした。

カラオケ、映画、遊園地など、日本の都市に住んでいると、娯楽=消費でした。

しかし、フランスにいると、そもそも娯楽が少ない、お金を使わない娯楽がたくさんある。

無意識でお金がなくなっていくことが少なくなり、お金は「自分が使うものである」と思うようになりました。

娯楽にお金を使わなくなった代わりに、少し良い食材にお金を使ったり、友達との時間にお金を使うようになりました。

何を食べるか・飲むのか、気を付けるようになった

お金の使い道にも関連していますが、自分が何を食べるのか、何を飲むのか注意を払うようになりました。

フランスは日本人以上に、自分の体に入れるものに気を使います。産地がどこであるか、環境に配慮しているのか、ビオ食品なのか。

フランス人の食事のクオリティに対する執着は、フランスが農業国であるからかもしれません。

そんなフランス人に囲まれる中で、自分も食事に気を付けるようになりました。

流石にビオ食材のお店で全ての食材を集めることはできませんが、日曜日にマルシェで野菜を買って、ゆったりした時間を過ごす日々を過ごしています。

自分が日本人であるという感覚が強くなった

逆説的ですが、フランスにいることで、自分が日本人であると言う感覚が強くなりました。

フランスに外国人として生活していると、「あなたの国ではどうなの?」「あなたの言語ではどういうの?」と言うような質問が来ることも。

また、フランス人の中には「日本に旅行に行きたい!」と思っている人も多いので、日本に関する質問をされます。

そんな自分の出身に関する質問を受けたり、日本語に関して考えてみたりすると、自分が日本人であると言う感覚が強くなっていきました。

なんとかなると思えるようになった

フランスに留学中、いろいろなことがありました。

あわやホームレスになりかけたり、大学の単位が怪しかったり、自分のフランス語能力の無さに打ちひしがれたり。

大変な毎日でしたが、なんとか無事に留学を終わらせることができました。

これからも、何か大変なことがあっても、「外国で一人で修士号を自力で終わらせる」こと以上に大変なことはあまりないのかなと思えるようになりました。

変わらないこと

意外と自分の価値観は変わらない

留学に来て「価値観が変わった!!」という人もいますが、私の場合は価値観が180度変わることはありませんでした。

そもそもフランスに留学に来るまで20年以上日本に住んできたわけであり、長い間家族、教育、環境により構築されてきた価値観がフランスにきて数年でガラッと変わることはありません。

逆に、自分の価値観がいかに頑固なものであり、「日本人的感覚をフランス生活にも適応させようとしている」事実を自覚しました。

価値観が「増えた」

自分が日本で培ってきた価値観が変わることはありませんでした。

しかし、今までの価値観に加えて、「フランス的価値観が増える」ことはありました。

仕事・キャリアに関して日本人的な過度に真面目な部分もありつつも、自分の中でどこかフランス人的に仕事をほどほどにしても大丈夫と思うことも。

場面に応じて、日本人的な価値観と、フランス的な価値観が交互に浮かび上がったり影を潜めたりするようになりました。

最後に:留学で人生は変わらない

留学で人生が大きく変わることはないのかなと思います。

留学をするとしても、1年〜数年間だけですし、留学だけで自分の人生が大きく変わることはないと思います。

でも、何か自分の中に新しい感覚が芽生えることは確かなのかなと思います。

新しく芽生えた新しい感覚、習慣、価値観と、今までの感覚、習慣、価値観が混ざっていく感覚を留学中、楽しむことができたら、留学がより楽しくなると思います。