こんにちは。バゲと申します。フランスに学生として滞在して2年が立ちます。
学生として質素な生活をしながらも、たまにフランスの飲食店で外食をする経験も増えてきました。
パリにて店員さん来なくてそろそろ腕が限界な僕どうぞ。 pic.twitter.com/FCBDwEywnQ
— 高藤直寿TAKATO NAOHISA (@naohisatakato) August 9, 2024
2024年のオリンピックでパリにきた日本人の体操選手のあるツイートが一時期話題になりました。
フランスのレストランでのサービスが遅くいくら待ってっも来ないため、腕を上げて注文したという内容のもの。
このツイートに、「日本人差別だ!!」「フランスの飲食店はサービスが悪い!!」「ありえない!!」というような反応が大きく湧きました。
こんな反応の他にも、フランスの飲食店で嫌な思いをしたという人の経験談を耳にしたこともあるはず。
と、フランス在住の人間としては感じてしまいます。
実際には差別ではなく、ただ単純にフランスのマナー、ルールにしたがっていないから起きてしまっただけのトラブルが9割以上。
実際のところ、差別されたわけではないというのが実情です。
さて、これからフランスに来る人たちが飲食店で嫌な思いをしないために、この記事では
- フランスの飲食のサービスと日本の飲食店の違い
- フランスの飲食店に行くときに覚えておくこと
を紹介していきたいと思います。
また、筆者は学生をしながら日本食レストランではありますが、サーバーとして1年以上アルバイトをしてきました。フランスの飲食店で働いているサーバー側からの意見も織り交ぜています。
ぜひ最後まで読んでください。
フランスの飲食店のサービスは、「日本のサービス」ではない。
フランスのサーバーは、日本ほど細やかなサービスはしない
まず、フランスは飲食店だけではなく洋服屋さんでもどんな場合でも、お客さんと労働者は対等という認識があります。
日本のように、お客さんを神のように丁寧に丁寧に接客するということはありません。
お店によっては敬語を使うこともなく、「お客さんと店員は対等であり、特別扱いはしない」と認識しておきましょう。
さらに、サービスの数が客席の数に対して少なすぎることも多いので、注文に時間がかかったり、注文をとる間に他の料理ができることで提供の順番に狂いが出たりすることもあります。
また、多くの飲食店のサービスは、ほぼ最低賃金で働いており、最低賃金の労働=最低限の労働と割り切っている人も多くいます。
メニューに対しての細かすぎる質問、要望があったり、特別なサービスをしてほしいという場合、労働が増える一方で賃金が増えないので、ちょっと不機嫌になる人もいます。
日本のようにサービスの画一化したマニュアルも存在しないので、サービスの対応は、サーバーの人柄に直結します。
日本人だろうが、誰だろうが、「旅行客」は、あまり歓迎されない
フランスは観光立国でありながらも、飲食店で働いている人は観光客が結構嫌いだったりもします。
観光客は英語、もしくは他の言語で対応しなければいけないことに加えて、そもそも提供しているメニュー自体を知らないことも多く、質問攻めに合います。
また、観光客はグループで行動していることも多く旅行中でテンションも上がっているということもあり、食事中うるさくしたりするお客さんも多いです。
また、観光客は一度お店に来ても2度と戻ってこないことがほとんどなので、サービスとしては常連のお客さんを優先する傾向にあります。
しかも、そのような観光客は「フランスはチップが必要ではない」という知識はあるので、どんなに迷惑をかけても、サーバー側に全く得がありません。
私もフランスの飲食店で働いていて、観光客が来ると、日本人であろうと、他の気にであろうと、「ちょっとめんどくさいな・・・」と感じていました。
日本人観光客がフランスの飲食店で嫌な思いをしたときは、「アジア人差別」ではなく、「観光客嫌い」なだけかも。
ごくごくごく稀に、本当に差別をする人もいる(かも)。
一方でフランスに差別的な人がいるのも事実。
ただし飲食店に関わらずフランスでは、労働中に明かに差別的な言動があった場合、労働者を解雇できます。
いくら頭の中で差別的なことを考えていても、行動にまで移す人は極々わずかです。
フランスに2年間住んでいますが、差別的な言動をされたこと(ホームレスに揶揄われた)は一回しかありません。
ましてや、飲食店で差別的な行動をされたことなどは全くありません。
特に日本人観光客がいくようなお店で、直接的な差別行動をすることはあまりないかと思います。
フランスのレストランに行く時に覚えておく4つのこと。
さて、そんなフランスの飲食店事情ですが、日本人の人が勝手をわからず嫌な思いをしてしまうことも多いはず。
フランスのレストランに行く際の鉄則として、以下の4つのことを覚えておきましょう。
- 入る時は、「必ず」挨拶。
- メニューを下さないと注文は取りに来ない。
- レストランは時間を楽しむ場所。気楽に待とう。
- チップは気持ちだが、親切にしてもらったら絶対に残そう。
入る時は、「必ず」「必ず」「必ず」フランス語で挨拶。
飲食店には限らず、フランスのお店に入る、フランス人に話しかけるといった際は、絶対に挨拶をしてください。
日本でも挨拶は大事とされますが、フランスはそれ以上に挨拶が重要視されます。
フランスで挨拶をしない人は、かなり失礼な人と捉えられてしまいます。それは、観光客でも同じで、挨拶をする文化がない人にも適用されます。
話しかける時は「ボンジュール(こんにちは)」、感謝を伝えるときは「メルシー」、別れをつけるときは、「オルヴォア(さようなら)」と、絶対にいうようにしましょう。
最悪、ボンジュールだけでも覚えておくようにしましょう。
フランス語で挨拶した後は、基本的に英語で話してもらって大丈夫です。
フランスの観光地のお店のほとんどでは英語を話すことができる人がいるので安心してください。
メニューを下さないと注文は取りに来ない。
フランスでは、手を挙げて注文するという文化はありません。
自分の食べたいものが決めたら、メニュー表を下げて待っていると、サーバーがやってきてくれます。
逆にメニュー表を下げないと、いつまで経ってもメニューを決めたいないと思われてしまい、注文を聞きにきてくれません。
逆に「手を大きく上げて注文する」「声をあげて注文する」行為はマナー違反とされ、サーバーに嫌われてしまいます。
どうしても、サーバーを呼びたい場合は、アイコンタクトをする、人差し指をほんの少し上に立てるなどのサインをするようにしましょう。
レストランは時間を楽しむ場所。気楽に待とう。
そもそもフランスのレストランは、食事を楽しむ場所という以上に、一緒に来た恋人、家族、友達との時間を楽しむ場所という役割を持っています。
そのため、お客さん側もある程度時間をかけて食事を選び、注文を待ち、ゆったり食事をすることを前提にしています。
サービスが遅くてもそれほど気にしません。(あまりにも遅い場合は、流石に怒ります)
観光でフランスに来ている場合は、予定が詰まっていることも多いかも知れません。
あまりにも時間がないという場合はレストランには行かず、スーパーの惣菜を食べたり、ファストフードのお店を利用するようにしましょう。
チップは気持ちで大丈夫。サーバーに助けてもらったら積極的に残そう。
フランスにチップ文化はあまりありません。
アメリカでは飲食代の20%ほどをチップとしておかなければいけない義務がありますが、フランスは気持ち程度でいいという雰囲気です。
しかし、日本人の場合観光客としてフランス語が話せない中、英語を話してもらっているという状況でサービスをしてもらってるので、ある程度チップを残すのが礼儀かなと思います。
また、チップを残すことでサーバー側にいい印象を持たせることができるため、次にくる日本人のお客さんへの対応が良くなるかも知れません。日本人の私たちが、チップを残すことで、他の日本人の印象を引き上げる効果もあります。
私はフランスの飲食店で働いている時に、外国人観光客の対応をしなければいけなく英語で10分以上かけてすべてのメニューの解説をさせられました。
その対応の時間のせいで、他のお客さんの対応も遅くなってしまい、かなり大変でした。
しかし、その外国人観光客は全くチップを残さずに帰り、「頑張って観光客を相手にしなくてもいいな。。。」という気持ちになりました。(ここだけの話です)
ただし、高級レストランは例外
このように、サービスについて日本ほどのホスピタリティはないフランスですが、一食150から200ユーロ以上するような、ある程度高級なレストランになると話は別です。
他のレストランと同様に挨拶は欠かせませんが、英語の対応、メニューの解説、きめ細かいホスピタリティを期待していいでしょう。
いわゆるガストロノミーと呼ばれるようなレストランでは、嫌な気持ちになる日本人のお客さんはあまりいないはずです。
観光客の方でも、ある程度のお金を出せば、ストレスフリーにレストランを楽しむことができるはずだよ!
でも、多分差別じゃなくて、ただフランスに慣れていないからだよなあ。。