こんにちは。バゲちゃんです。
フランスのリヨンで美術史という学問を勉強している大学院生です。
美術の歴史を勉強しているので、勉強と息抜きをかねて大学の授業を受けながら週末にフランス各地の都市、美術館を訪問しています。
フランスはTGVという新幹線のような高速鉄道網が張り巡らされているので、日本よりも都市間の移動がかなり楽に安くできるのは本当にありがたいなと思います。
最近もパリに週末旅行に行ってきました。パリにある美術館をたくさん回ることができたので大満足です。
「ブルスドコメルス (Bourse de Commerce)」という新しい美術館という美術館をみなさんはご存知でしょうか。
ブルスドコメルスは、元証券取引所を安藤忠雄の設計で改装した現代美術館で、フランスを代表するアートコレクショニアのフランソワピノー氏のコレクションを展示している美術館です。
ルーブル美術館、ポンピドゥーセンターからも程近く、パリ旅行に行った際はぜひおとづれてみて欲しい場所の一つです。
この記事では、そんなブルスドコメルスについて、私が実際に行ってみてとった写真、感じた感想とともにみなさんにご紹介していきたいと思います。
美術を好きな人も、美術にそんなに興味がない人も、興味が湧いてくること間違いなしです。是非最後まで読んでみてください。
- フランソワピノーのコレクションを展示する美術館
- 安藤忠雄建築だが主張は強くなく、元々の建物との調和を楽しめる
- 美術館はそんなに大きくないので、ゆったりみても2時間ほどで見終わる(展示による)
2020年に開館したブルスドコメルス
ブルスドコメルスについて
パリにできたブルスドコメルスは、アートコレクショニアのフランソワピノー氏のコレクションを展示する世界に3つある美術館のうちの一つです。
パリのブルスドコメルスの他には、ベニスにパラゾ・グラッシ美術館、プンタ・デラ・ドガーナ美術館があります。
主に現代美術を展示しており期間に応じた展示替えが行われ、有料でピノーコレクションの10000点余りの作品を見ることができます。
ブルス・ド・コメルスは、フランソワ・ピノー氏が50年余を掛けて収集してきた世界屈指の現代アートコレクションを展示し、ベニスのパラゾ・グラッシ美術館及びプンタ・デラ・ドガーナ美術館と共に、国境を越えたネットワークを成しています。
ブルスドコメルス公式サイト
建築はもともとパリの証券取引所を元にしていますが、内部は日本を代表する建築家、安藤忠雄氏による回収が行われ、美術館内部には大胆で独創的な空間が広がっています。
なお安藤忠雄氏の建築は、日本では直島の地中美術館、東京の六本木にある21_21 DESIGN SIGHTなどで見ることができます。
建物の空間は、日本人建築家、安藤忠雄氏の手によって再考され、建築とそのコンテキスト、文化遺産と現代的クリエーション、過去と現在との間の対話の条件が備わり、より生き生きとした美術館空間に生まれ変わりました。ブルス・ド・コメルスは、今日、フランスにおいて安藤忠雄氏が手掛けた建築の中で最も重要な作品となっています。
ブルスドコメルス公式サイト
基本情報:開館日、入館料、アクセス
- 月曜日~日曜日:午前11時~午後7時
- 夜間開館日:毎週金曜日の午後9時まで
- 第1土曜日の午後5時~9時までは入場料無料
- 休館日:火曜日
- 普通料金:14ユーロ
- 割引料金:10ユーロ
※事前予約が必要な場合もあるので、あらかじめネットでチケットを予約しておきましょう。
私は所属しているフランスの大学の学生証を活用して割引料金で入場することができました。日本からフランスに旅行に行かれる学生さんは日本で国際学生証を作っておくと便利ですよ!
- メトロライン1の「Louvre Rivoli」駅から徒歩で5分。
- 近くにはルーブル美術館、ポンピドゥーセンター、マレ地区のような観光地が多くあるので、観光ついでに向かうのもお勧め。
展示替え、ストライキなどで美術館自体が開館していない可能性もあるので、事前にウェブサイトなどをチェックしておくようにしましょう。
実際にブルスドコメルスを訪れてみました。
私がブルスドコメルスを訪れたのは、パリに週末旅行をしに行った時の2日めの午後でした。日曜の午後に行ったのもあって、美術館の周りには多くの人がいて賑わっていました。
美術館の周りは道が入り組んでるのもあってなかなか歩きずらかったり道が分かりづらいのですが、ブルスドコメルスは円形の建物で周りの建物とは全く異なる雰囲気を持っています。
個人の所有する現代美術館ではありますが、特別風格のある地区にあるわけではなく、パリ市民の生活の延長線上にあるような雰囲気があります。
私はネットであらかじめ入場料の決済を済ませておいたのもあり、発券所でチケットを発券し手荷物検査をするだけで、中にスムーズに入ることができました。
中のスタッフさんは英語も流暢に話されていたので、フランス語がわからない人でも安心です。
中に入ると、ブルルドコメルスの模型があります。
この模型を見ると、安藤忠雄氏が改修の際に付け足した内部の円筒の空間は、外枠の建物自体とは分離されていることがわかります。
古いヨーロッパの建物は内部の構造が、中を歩いていてもわかりづらいことがあるので、こんな感じに模型で示してくれるとありがたいです。
中の構造は地下一階、地上四階の五層構造。展示スペースは、主に0階、1階、2階の各フロアと、建物の中心を貫く大規模空間が使われているようです。
中央の円筒の外側に階段が設置されていて、来館者は内部空間をぐるぐると上に上りながら展示スペースを回っていくという設計になっています。
展示室はそれぞれそんなに大きくないのでコンパクトにみて回ることができました
ちなみにヨーロッパでは地上階のことを0階といい、日本の2階はヨーロッパでは1階と表されます。誤解を招きやすいですよね。
計算された動線と、コンパクトな建物のおかげで、じっくり作品をみていっても2時間ほどで全ての作品を見ることができました。
最初に入るのは建物中心の展示スペース。
安藤忠雄のコンクリート打ちっぱなしの無機質な空間と、天井画、天窓から指す光の調和はとても美しいです。
写真でもわかるとおり、この展示スペースはとても広く、鑑賞者が数十人内部にいても全く狭いと感じないような解放感があります。
人によっては床に直接座ったり、椅子に座ったりしながら鑑賞していました。
私がブルスドコメルスに行った時は、大規模なスクリーンを使って音に着目した作品の展示が行われていました。
もともとの建物の半球上の屋根と、円筒に配置されたコンクリートのおかげで内部空間に音の反響が行われるようになっていて、360度から音が聞こえるような錯覚を覚えます。
実際にスピーカーがどこにあるのか気になり、外面の裏などをみてみたのですが、スピーカーを目視で見つけることはできませんでした。それほどまでに計算された設計なのだと思います。
建物の中では展示空間だけでなくキャビネットを利用した展示も行われています。
もともとの建物の雰囲気を感じながらも展示されているものは現代的な作品なので、時間の感覚を問いかけているような気持ちになります。
また、改修はされていても床面のタイルは一部残されているようで、美しい模様を楽しむこともできました。
私がブルスドコメルスを訪れた際は、フィリップ・パレーノ、ヴォルフガング・ティルマンス、ミリアム・カーンなどの展示が行われていました。
一見わかりずらい作品も多いですが作品一つ一つに英語とフランス語でガイドがついているので、一つ一つ見ていくと理解することができます。
また、高額な作品でも柵を設けたり結界を書いていたりしていないので、うっかり手を触れてしまいそうになるので注意が必要です。作品に近づきすぎると警備の人に注意されます。
※作品の中には来館者によって触れられたり、来館者が何かを書いたりすることを促したりする作品もあります。
ブルスドコメルスには、レストラン、カフェも併設されています。
美術館を歩き回って疲れたら、美術館の最上階にあるカフェで休憩してもいいかもしれません。
私立美術館併設のカフェレストランというだけあって、結構お値段もお高めだったので、学生の私はいくことはできませんでした。。今度はレストランフロアも見てみたい!
ブルスドコメルスのオススメ度は、「★★★★☆」
私の感想としてはブルスドコメルスの感想は「最高!!」という感じでした。価値のある現代美術をたくさん見ることができますし、安藤忠雄の建築がフランスでどのように受け入れられているかを実感することもできました。
しかし、現代美術に興味がなく、建築にも全く興味がないという人にとっては退屈に感じてしまうかもしれません。入場料も一般の料金だと2000円ほどしてしまいますし、他にもパリには観光地がたくさんあります。
美術を勉強している自分が正直にいうと、万人受けするような施設ではないのかなと感じてしまいます。パリにはたくさんの観光客が至るとことにいるのですが、ブルスドコメルスの中にはあまり観光客はいない印象を受けました。
個人的にはとってもおすすめの施設なのですが、全員にお勧めできるかどうかと聞かれると観光客全員が楽しめる施設ではないということを踏まえて、「★★★★☆」という感じです。
- 現代美術が好きな人
- 安藤忠雄の建築に興味を持っている人
- 非日常体験をしたい人
- 普通のパリの観光に飽きてしまった人
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