学芸員課程は大変?実習の様子は?現役大学生が学芸員課程を修了してみた。【大学生】

  • 学芸員課程って大変なのかな?
  • 学芸員実習ってどんな感じで行われるの?
  • 大学で学芸員課程が開講されているから、興味がある!

この記事はそんな疑問を持っている方のために、

「学芸員課程を実際に修了した現役大学生」が解説!

こんにちは。バゲちゃんです。大学生です

突然ですが、皆様の通われている大学、通おうとしている大学、通った大学では、学芸員課程が開講されていますか?

こちらの学芸員課程、文化庁のページによると291の4年制大学、6の短期大学で開講されています。

詳しくは、こちら「文化庁 学芸員養成課程開講大学一覧」のページをご覧ください。

学芸員養成課程(学芸員課程)とは、その名の通り博物館や美術館で資料を扱う業務を行うために必要とされる「博物館法」に基づいて置かれる学芸員として働くために必要とされる資格です。

資格の取得方法としては、以下の二つ。

  • 学芸員養成課程を修了する
  • 文部科学省で行われる試験に合格する

今回、私は私が通っている大学で開講されている学芸員課程を修了したので、その概要と修了してみて感じたことをご紹介していきます!

もしよろしければ、最後までご覧ください。

結論
  • 文化庁は学芸員養成課程として19の単位を設定している。
  • 大学によっては、設定されている単位以上の単位を取らなくてはならないため履修次第では大変。
  • 学芸員課程の授業は、博物館や美術館に興味がある人にはとっても魅力的。
  • 特に、学芸員課程の仕上げに当たる学芸実習の授業が面白かった。

学芸員課程の概要と、私の学芸員課程の経験

ここからは、学芸員課程についてお話をさせていただきますが、以下の文章で言及する学芸員課程は大学や短大で規定の単位を取得することで修了することのできる課程を指します。文部科学省で行われる試験について述べているわけではありませんので、ご了承ください。

学芸員課程の概要

文化省のホームページには、学芸員のなり方として以下のように述べられています。

【学芸員になるための資格の取得方法について】

次の三つのうち,いずれかに該当すれば資格を取得したことになります。

(1)学士の学位を有し,大学で文部科学省令の定める博物館に関する科目の単位を修得したものなお,文部科学省令の定める博物館に関する科目については,「博物館に関する科目について」を,学芸員資格取得に必要な科目が履修できる大学については,「学芸員開講大学一覧」を参照してください。

(2)大学に二年以上在学し,博物館に関する科目の単位を含めて六十二単位以上を修得したもので,三年以上学芸員補の職にあったもの。

(3)文部科学大臣が,文部科学省令で定めるところにより,上の二つにあげたものと同等以上の学力及び経験を有すると認めたもの(学芸員資格認定を合格したもの)。

文化庁 「学芸員になるには」

学芸員課程が開講されているほとんどの大学が4年制大学であることと考えると、学芸員資格を所持するためには、上記(1)に当たる「学士の学位を有し,大学で文部科学省令の定める博物館に関する科目の単位を修得したもの。」という条件を満たすことが一般的であると言えます。

そして、「文部科学省令の定める博物館に関する科目の単位」というのが以下のもの。

科目名単位数
生涯学習概論2
博物館概論2
博物館経営論2
博物館資料論2
博物館資料保存論2
博物館展示論2
博物館教育論2
博物館情報・メディア論2
博物館実習3

つまり、文化庁によると設定されている19の単位を取得することで「学芸員資格」を取得することができます。

ちなみに、平成24年の改訂により、学芸員課程の単位数は増加することになりました。

大学の授業数で言うと、8〜10の授業を取ればいいってことになるね!

確かにそうだね!

でも、大学によっては、文化庁で決められている単位以上の単位を修了しなくちゃいけない場合があるから注意が必要だよ!

私の大学の学芸員課程

私の通っている大学で開かれた学芸員課程は以下のような流れで行われました。

  1. 学芸員課程に志望し、選抜試験を受ける
  2. 学芸員実習という単位以外の学芸員課程の単位履修を開始
  3. 学芸員実習単位取得
  4. 学芸員課程修了

私の大学で学芸員課程の履修の志望が始まったのは履修が始まる年度の前年度の11月ごろからでした。

秋学期が始まった頃から、学芸員課程の履修希望者へのガイダンスが始まり、一ヶ月間ほど履修希望の受理を行なっていました。

履修希望で提出する書類には、

  • 在学証明
  • 履修志望書
  • 成績証明書

などを添付しました。

年が明けた1月のある日、履修希望者の選抜があり、履修にあたっての意気込みや最低限の知識を問うような小論文が課題として出されました。

履修選抜の結果としては、履修希望者が全員合格であったため、履修者選抜は万が一、人数が上限を超えてしまった時のために設定されているものだったのかなと思います。

私は「美術史を勉強しているので、履修希望書、履修にあたっての小論文には、学芸員課程を履修することで、自分の学習に役立てることができる」という旨の文章を書きました。

実際に学芸員課程の履修が始まったのは4月からでした。4月の履修登録の際に、学芸員課程の単位が履修できるようになっており、履修登録を行いました。

私の大学では、学芸員課程の単位は通常の授業が少ない「1限」や「土曜日」に多く設定されていました。

学芸員課程履修のために、朝早い1限とか土曜日に学校に行かなくちゃいけないのは大変だね!!

確かに、他の授業との兼ね合いもあるし、1限に学校に行ったり、土曜日も学校に行かなくちゃいけなくて大変だったかも。。

さらに、私の大学では、学芸員課程を修了するために、文化庁の設定している学芸員課程の単位19単位に加えて、大学で独自に設定された16単位を履修しなくてはいけなかったため、合計で35単位取得する必要がありました。

大学独自に設定していた取得しなければいけなかった単位としては、古文書学、美術史、考古学、日本文化史、民俗学などでした。

文化庁で定められている単位19単位と、大学独自の単位16単位を合計すると、35単位も取らなくちゃいけなかったんだね。

その通りだね。。。。大変だったよ。。。。

取得しなくてはいけなかった単位が多かったのに加えて、学芸員課程の中には、卒業するための最低単位数である卒業単位に組み込むことができない単位があったため、学芸員課程を取得しない人に比べて多めに単位を取得する必要がありました。

学芸員課程って大変なんだね。。取らないでおこうかな。。

ちょっと待って!学芸員課程は確かに大変な部分もあるけど、

履修している授業は専門的で楽しかったし、学芸員課程の仕上げに当たる学芸員実習は本当にためになったよ。

ここまで、学芸員課程の大変な側面ばかりご紹介してきましたが、学芸員課程を履修しないと味わえない楽しみも多くあります

学芸員課程で開設されている授業の多くは、現役の学芸員として働かれている方だったり、過去に学芸員として働かれている方だったので、お話がかなり実践的で面白かったです。

普段、来館者として外側しか見ることのできない博物館の運営や裏側、内部事情を知ることができ、博物館や美術館が好きな私には、非常に魅力的な授業ばかりでした。

さらに、学芸員課程の授業の中には、実際に博物館や美術館を訪ねて学芸員の方のお話を聞いたり、バックヤードを見せてもらえる授業もあるので、普通に生活していてはできない体験をすることができます

授業の中には、実際に江戸時代の古文書を触ったり、縄文土器を磨くというような授業もありました。

江戸時代の古文書なんて普通触ることできないもんね!

自分の行ったことのない博物館に行くことができるのも楽しそう!

そして、一番大変で一番楽しかったのは、学芸員課程の最後の取得した単位である「学芸員実習」という単位でした。

この学芸員実習という単位は少し特殊な単位で、前期は大学で座学の授業をうけ、夏休みの間に自分で実習先として受け入れてもらえる博物館、美術館を見つけ、実習生として運営に関わらせていただくという授業です。

前期に授業では、実際に実習先で受け入れてもらえた時のために、実際に美術品を扱う練習をしたり、古物を触り方を実際品々を使って練習をしました。

特に、夏休みの間に博物館や美術館で実習をさせていただく期間は、大変でしたが実りのあるものでした。

この実習先で実習生として受け入れてもらえる施設は自分で探さなくてはいけませんでした。

人によっては、

  • 古文書を扱う私立博物館
  • 近代美術を扱う国立の美術館
  • 現代美術を扱う公立美術館
  • 私立美術館

などのように、自分の希望に即して実習先を選んでいました。

自分で実習先を選ぶことができるのは、魅力的だね!!

実習先として私を受け入れてくれたのは、美術教育に力を入れている美術館で、合計で8日間の実習期間がありました。

そこで私は実習生として、子供たちの美術を通した教育や、美術館で行われるプログラムのお手伝いを行いました。

実習生は全員で十人以上いたのですが、最後の実習日には実習生が実習中に感じたことをもとに作品を制作するというまとめ方をされていて、受け入れてくださった美術館が実習生にも何か教えようという気概を感じることができたのが嬉しかったです。

また、実習で受け入れてくださった美術館は、大きな国立美術館とは異なり、少人数のスタッフさんで運営をしているということもあり、実習生もまるでスタッフさんとして扱って下さったので、より実践的な学習をすることができました。

この実習先での内容は、受け入れ先の博物館、美術館で大きく異なるみたいだよ!

同じく学芸員実習をとっていた私の同級生の子は、大きめの国立美術館に実習で行ったらしいんだけど、あまり実習生には主体的な行動をさせてもらえずほとんど見学という形だったらしいよ!

実習先を選ぶときは、先輩たちの意見を聞いたり、その博物館、美術館が教育普及にどの程度力を入れているかを調べるといいかもね

まとめ

いかがでしたでしょうか。

この記事では、学芸員課程の概要と、私の学芸員課程の履修についてまとめました

学芸員課程は、確かに履修しなくてはいけない授業も多く、博物館や美術館に興味のない方にとっては苦痛に感じるかもしれません。

しかし、博物館や美術館に興味のある方は、貴重なお話を聞くことができたり、普段はできない体験をすることができ、普通の大学での学びとは異なる経験をすることができます

学芸員課程に少しでも興味のある方は、大学の事務室に質問しに行ったり、学芸員課程のガイダンスに参加してみてはいかがでしょうか。

読んでいただきありがとうございました。

自分の大学に学芸員課程が設置されていていない、もしくはすでに大学を卒業してしまっているという方は、科目履修生として他の大学で単位を履修する方法もあります。興味のある方は、「学芸員課程 科目履修」「学芸員課程 単位履修」と検索してみてください。

結論
  • 文化庁は学芸員養成課程として19の単位を設定している。
  • 大学によっては、設定されている単位以上の単位を取らなくてはならないため履修次第では大変。
  • 学芸員課程の授業は、博物館や美術館に興味がある人にはとっても魅力的。
  • 特に、学芸員課程の仕上げに当たる学芸実習の授業が面白かった。

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