DALF C1を近々受けてみたいと考えている人、フランス語の資格を取得したい人向けの記事です。
フランス語学習をし始めてある程度たった方なら、フランス語資格の一つであるDELF、DALFは聞いたことあるのでは?
仏検のような試験とは異なり、DELF、DALF試験はフランスの政府が主導して行っている試験。試験の内容も暗記や文法を問うものはなく、実際の運用能力のレベルが問われます。
この記事では、実際にフランス語試験のDALF V1を受けてきた筆者がその試験の様子と、その出題内容を解説しています。
DALF C1の試験を受ける人の参考になればいいなと思います。数分で読み終わる記事なので、ぜひ最後までご覧ください。
DALFC1について
DALF C1を受けるために求められるレベルはこんな感じ。
- 長くて難解な、様々な種類の文章を理解し、明示されていない部分についてもその意味を理解することができる。
- ためらうことなく、流暢で自然に自己表現することができる。
- 社会的、専門的、学術的な場面において、効果的かつ柔軟に言葉を使うことができる。
- 複雑なテーマについて、明瞭で構成の整った方法で自己表現できる。
フランス語に関する知識だけでなく、フランス語を実際に高いレベルで運用することができるレベルが求められます。
DALF C1の試験の構成は、以下の四つ。
- 聴解:いくつかの録音を聞いて質問に答える。
- 読解:文章が与えられ質問に答える。
- 文書作成:複数の文章の統合(要約)と、文書作成。
合計4時間
- 面接試験:与えられた文書に対してプレゼンを行い、その後に質疑応答。
合計90分
この二つの試験はそれぞれ異なる日に行われ、それぞれの試験日は試験の受験票に記載されています。
以上、DALFウェブサイトより。より詳しくは公式のウェブサイトをご覧ください。
私の試験と場所
- 2022年11月
- フランスのリヨンの語学学校で開かれた試験
- 口頭試験がまずあり、筆記試験はその四日後に行われる
実際のテストの様子
- 語学学校の小さな教室で行われる
- DALF C1を受けるのは合計で20人くらい
- 口頭発表用の辞書は学校で用意
- 飲み物は持ち込み可能
私はフランスでも日本でもDELF、DALF試験を受けたことがあるのですが、フランスの場合だと受けられる場所がたくさんあることもあってか、規模は小さめ。
試験を受けるときに自分で試験センターを探して登録を行うのですが、どの場合も語学学校で行われていることが多い様子。
日本でDALFを受けると、アンスティチュフランセなど比較的大きな組織で受けることになりますが、フランスの場合は試験の委託が行われているのか、試験の回数もはるかに多く、試験の場所の選択肢もたくさんありました。
試験の内容
会話(Production Oral)
- 我々の日常生活に溶け込んでいる「砂糖」と、その有害性、規制について
会話のテーマは、砂糖についてでした。昨今砂糖の危険性が多く語られているので、「タイムリーなテーマだな」と正直思います。
プレゼンをする上で、二つの文章が与えられました。一つは「砂糖の有害性と人間の体がもともと持つ砂糖への依存性」についてまとめた記事の文章、もう一つが「砂糖に関する具体的な取り組みと、脱砂糖の難しさ」についてまとめた記事の文章。
エクスポゼでは、二つの文章を要約しながら、自分の文章を付け加えたものを発表。もともと体が持っている砂糖を欲する気持ちや、日常生活の中で砂糖を含む食品が安価で手に入ること、砂糖を扱う企業の優位性などをまとめたものを発表。
なるべく科学的、経済的、文化的な観点からの指摘を入れることができるように構成を立てました。最後には、「政府主導で砂糖を含む食品の有害性を周知させるべき」と言ったような内容の結論をまとめました。
エクスポゼが終わるとすぐに質疑応答の時間になります。「本当に砂糖は有害なだけなの?」と言うような簡単な質問に始まり、「政府主導で砂糖に反対するのは民主主義には反しないの?」と言ったなかなか厳しい質問まで。
全ての質問にきちんと論理的に答えることはできなかったのですが、質問の内容を認めながら様々な可能性を広げるような答えをしていきました。
最後の最後には疲れてしまい、あまりどんなことを話しているのかまでは覚えていませんが、終始和やかに終わった記憶があります。
聞き取り
- スマートフォン、パソコンなどの子供への影響
- 海のプラスチック汚染、シェア自転車
聴解の試験のテーマは、子供へのスマホの影響と環境問題などの問題。
まず最初に感じるのは、「問題が長い!」。一回の放送につき数分ほどあるので、全てを一言一句聞き取るのは不可能です。
そのため、質問から先読みしどんな会話をしているのかを想定しながら聞き取りました。
今回の録音では話している人の抑揚や間の置き方でその話題の重要な部分がわかりやすかったので、比較的楽なパートでした。
また、話の内容もフランスにいるとよく聞く内容なので、馴染みのあるトピックでよかったと思います。
フランスに住んでいる人は聴解のパートが一番楽で、日本にいる人は一番苦手なパートだろうなと思います。
読解
- フランスの「生食」文化
今回の試験で意外だったのはこの読解のパートのテーマ。
フランスの現代人の食の変化を扱った新聞記事。
歴史的な背景から「人間の調理」についての根本的な考えから、異文化との接触による食事の変化、なぜ人間は食事に熱を加えるようになったのかと言うことまで幅広く論じられていました。
私の場合、日本ではなぜ生食がおおく、西洋では少ないのかと考えることが多かったので、これは結構なラッキー問題でした。
特定のボキャブラリーの分野の単語を知っていると、読解ははるかに楽になると感じます。
- 環境
- 食事
- 教育
文書作成
- オーバーツーリズム
文書作成のテーマはオーバーツーリズム。
与えられたのは、「旅行の国際化を肯定する文書」と「オーバーツーリズムの問題点をまとめた文書」
一つ目が旅行者の増加を肯定的に捉えている文章でしたが、二つ目は旅行者の増加をかなり否定的に捉えている文章で、真っ向する文章だったので統合(要約)はかなり難しかったです。
ただ、フランスの文章の形態として、どんな考えを持っている文章でもある程度逆の側面を持たせてくれているので、それをヒントにまとめました。
例えば、一つ目の文書では旅行者の増加を肯定しながらも旅行の質が下がってきていることも併記してあり、2つ目のオーバーツーリズムの批判の文章と重なるところがありました。そのような共通する場所をまとめて文章を作っていきました。
【注意】文書作成の1つ目の課題である統合(要約)は、与えられた記事以外のことは書いてはいけないので気をつけましょう。自分の経験、考えなどは絶対に混ぜてはいけません。
二つ目の課題は、以上のオーバーツーリズムの議題に対して、自分の意見をまとめた記事を作ることでした。
2つ目の課題では、自分の個人的な意見を入れることができるので、比較的楽でした。
それでも書かなくてはいけない文章がかなり長いので、最後の結論に到達する頃には、集中力も切れていて、変な結論になってしまいました。
試験の結果:合格
DALFC1試験の結果は合格でした。
63点(100点中):合格
Comprehension oral : 20.0
Comprehension écrit : 15.5
Production écrit : 10.5
Production oral : 17.0
結果は合格点の50点を少し上回り、まずまずといった点数での合格でした。
もともと不得意な文章作成が足を引っ張ったなと言う感想です。やっぱり、不得意なところを後回しにするのはよくないですね。とはいえ、合格は合格なので胸を張ってまた頑張ろうと思っています。
来年には、C2にチャレンジしてもいいかなと考えています。その際は、また記事にさせていただきます。
受ける人へのアドバイス
- 飲み物を持っていく
- 長時間の試験に耐えられる集中力を身につける
- 試験で緊張しすぎないようにする
- 環境、文化系のボキャブラリーに多く触れておくようにする
試験自体の注意点はそんなにありませんが、如何せん試験が長く続くので集中力との勝負になります。途中から疲れてしまうので、水分を補給したり、軽くストレッチをしたりして試験中でも気分転換をすることをおすすめします。
また、試験中に緊張しすぎないことも大事です。一度失敗してしまっても、また受け直すことができる試験なので、気楽に受けるようにしましょう。
ここまで読んでいただきありがとうございました。このブログでは、他にもフランス語学習、フランス生活、フランス留学について記事をまとめています。是非他の記事もご覧ください。