フランス留学の醍醐味:多文化への接触と個人の成長【留学エッセイ】【フランス・海外留学】

フランスは、その美しい風景、洗練された文化、そして芸術への熱い情熱で知られる国です。

多くの人々がフランスに留学し、その魅力的な醍醐味を体験してきました。

フランスの持つ文化的な雰囲気は多くの日本人を虜にしてきました。

フランス留学は、イギリス、アメリカ、オーストラリア、カナダのような英語圏への留学とは、全く異なる経験のできる機会だと思っています。

私も、そのフランス留学を享受している学生の一人です。フランスで現代美術の歴史を勉強している修士学生です。

2022年の8月にフランスに来て、はや1年。まだまだフランスの文化について全てはわかりませんが、徐々にフランスの留学生活、フランスの学生文化について、わかってきました。

このエッセイでは、フランス留学がもたらす文化交流や個人的成長について綴りたいと思います。

フランス留学に興味がある方、フランスに行ってみたい方、海外に興味がある方に読んでいただけたら嬉しいです。

文化交流の魅力

フランス留学の最大の醍醐味は、日本以外の他の国や文化との交流です。

日本にいるとあまり想像できないかもしれませんが、フランスは「超多国籍国家」。街を歩いていても、さまざまな人種の方が生活しています。

街の中心部に行くとさまざまな国籍の食料品を扱うスーパー、衣料品店が並び、見飽きることがありません。

多くの日本人が想像するような、巻毛で白い肌のいわゆる「フランス人」は一握り。その実態はもっと多様で、街の中に文化がひしめき合っています。

フランス人の友達と話していても、イタリア系フランス人、ドイツ系フランス人、アラブ系フランス人というような自身のアイデンテティを強く意識している人が多いです。

彼らは、家族のルーツと自分の住んでいる地域の文化を混ぜ合わせながら自身の文化を作り上げているような印象を受けます。

日本にいる場合だと、出身地の話で盛り上がることはあっても、家族の地域まで詳しく話すことはあまりないのでは。

フランス人が「自分の文化はこうだけど、君たちのはどんな感じ?」とあっけらかんと聞くとき、日本人の私は質問自体が文化の多様性を意識している人間の質問だなと感じます。

異なるバックグラウンドや言語を持つ人々との出会いは、人間関係を広げ世界観を豊かにします。

今までに触れたことのない価値観に触れ続けることになるので、自分の視野の狭さに気づくことができました。

日本にいると話すことが少ない、政治の話をしたり、フェミニスムに関する話を活発的にしたり、文化の共存とアイデンティティーの形成の齟齬の話をしたり。

最初はそんな難しい会話のトピックに戸惑っていましたが、自然と自分で興味が湧き勉強を始めてから、徐々に会話についていけるようになりました。

「こんな会話は日本にいたらすることはできなかっただろうな」とふと思う時があります。

大学の授業でも、自分が日本にいたときには聞いたことも話したことも話したこともないようなトピックが活発に議論されます。

自分が衝撃を受けたのは、「エコフェミニスム」という考え方。人間の自然への支配の構図と、女性の支配の構図から社会学的な研究を進める考え方なのですが、初めて聞いたときは全く理解することができず、びっくりしてしまいました。

フランスは多様な国であり、留学生たちは様々な国籍の仲間と交流する機会を得ます。

私のクラスメイトにも、イタリア人留学生、ブラジル人留学生、コロンビア人留学生などの多くの留学生がおり、それぞれの国の状況を活発的に引用しながら議論が進みます。

この交流を通じて、私は逆説的に、日本の自身の文化や伝統について新たな理解を深めることができました。

「私の国ではこうだけど、日本ではどうなの?」という質問を投げかけられたときに、私はうまく答えることができず、悔しい思いをしました。

フランスきたからこそ、いっそう日本文化の勉強に興味が出るようになりました。まだまだ日本文化もわからないことが多いですが、とても楽しいです。

文化交流は自己成長にとって貴重な経験であり、留学生活の中で大きな役割を果たしています。

自分とは異なる人と触れることで、自分という人間を認識し、より俯瞰的に見ることができているなと自分自身でも感じます。

個人的成長の軌跡

フランス留学は、個人的な成長を促す機会に満ちています。

留学生活は、新たな環境に飛び込む勇気を持つことから始まります。今までに住んでいた世界とは全く異なる世界での生活が始まります。

言葉の壁や文化の違いに直面しながら、留学生は柔軟性や適応力を身につける必要があります。

留学先では、自分自身で勉強を進め、自分自身で自分の生活を始めることになります。それも自分の言葉が通じない国で。

私も最初は困難に直面しましたが、時間と経験を通じて成長しました。

アメリカ留学やオーストラリア留学とも異なり、フランス留学経験者は母数が圧倒的に少ないので、情報を探すのにも一苦労です。

留学するにあたり必要なものの準備、しなくてはいけないことのリストを作るのにも一苦労しながら、なんとか進めることができました。

日本にいる、どんなことをするにしてもある程度、情報は揃っていることが多いのでは。

大学を決めるときも大学の情報誌がある程度すでに揃っていますし、何か勉強をしたいと思った時でもすでに教材は存在しています。つまり、日本にいて一般的な生活を送っている限り、何か新しいことをし始めようとしても1から全く新しいことを始めるということはあまりないです。

しかし、留学に行くとなると、そもそもの情報収集から全てが始まります。使える情報、使えない情報の取捨選択も自分自身で行い、その情報を元に自分で決定する必要があります。

自分自身の決断において全て自分で責任を取らなくてはいけないので、慎重さと、なおかつ大胆さが必要になります。

また、フランスの学校のシステムも日本とは全く異なります。

授業のスタイルやテストの方法、大学のあり方、学生の考え方全てが日本とは違うなと感じます。

例えば、フランスでの授業のスタイルは教授がひたすら喋り続けるというスタイルで、授業プリントのようなものは用意してくれません。生徒自身が莫大な量の情報を自分自身で理解しながらひたすらノートを取っていき、その情報を元に試験に挑みます。

また、テストの小論文もフランス独自の形式に則った形(デシセルタシオン)で小論文を書く必要があります。この論文の形式では、与えられた問いにそのまま答えてはならず、自分自身で新たな問いを見つけて、その考察をしなくてはいけません。日本の小論文の形式とは全く異なるのです。

さらに、フランスの大学には、学校単位の基本的に「サークル」「部活」のようなものが存在しません。大学はあくまで「学位を取りに来るところ」という認識があるようで、学生は授業が終わるとさっさと帰り、自分自身の生活に戻ります。大学の友達と遊ぶという文化は、日本ほど発達していないと感じます。

このようなフランスの大学の制度との違いにも、留学中は向き合わなければいけません。

しかし、このような困難に立ち向かうことで、自分自身成長できると感じます。

成長できるフランス留学

フランス留学は刺激と成長の連続です。

きっと楽しいだけではなく、辛い経験もたくさんするかと思います。

しかし、その苦難を乗り越えるからこそ、新しい視点を身につけることができると感じています。

私も留学中、フランスとの文化の違いに戸惑うことがたくさんありました。しかし、それでもフラン留学は楽しく、興味深いものです。

フランスを選んで良かったと感じています。

このブログでは、他にもフランス留学についての記事などをまとめています。もしこの記事に興味を持ってくださいましたら、他の記事もご覧ください。ありがとうございました。