私は大学入学後からフランス語を勉強し始め、文法などの基礎を学び終えてから、フランス語の資格を取得することを意識し始めました。
調べてみて、仏検などの存在を知っても、その資格がどのような物なのかわからずに、とりあえず受験。
さまざまな資格試験を実際に受けてみて、その試験がどのように異なるのか、どのように使えるのか、お伝えします!
フランス語の資格は大まかに分けてこの三つ!
- 仏検
- DELF DALF
- TCF
日本で現在受けられる資格試験としては大まかに分けてこの三つがあげられます。
「仏検」は、英語試験である「英検」と同じように耳にしたことがあるのではないでしょうか。
そのほかの、「DELF DALF」「TCF」は普段生活していても、聞き馴染みがなく、試験の内容も全く想像できないのではないでしょうか。
全て、フランス語に関する資格ではあるものの、その運営団体、出題形式、活用法は大きく異なり、特に「留学を希望する大学生」「就活に利用しようと考えている方」には注意が必要です。
ちなみに、私はこれら三つのフランス語試験を受験したことがあります!
仏検 実用フランス語技能能力検査
仏検は、「実用フランス語技能検定試験」(le DAPF (Diplôme d’Aptitude Pratique au Français, « Futsuken » en japonais) の一般的な略称です。
大学生のかたは、大学の構内の掲示板にポスターが貼ってあるのを目にしたことがあるのではないのでしょうか。
1981年に創設され、公益財団法人フランス語教育振興協会によって運営されています。
運営団体によると、仏検はフランス語の実用能力を客観的に測る日本独自の検定試験であるとされ、フランス語能力だけでなく、日本語との関わり合いを重視している試験であるということがわかります。
あくまで、フランス語を勉強している「日本語話者のための試験」になるということですね!
実施される時期は、春と秋。例えば、2020年度は、春試験の一次試験は6月21日、二次試験が7月19日、秋試験の一次試験は11月15日、二次試験は2021年1月24日に行われました。
試験の場所は、居住地近くの大学などの公共施設が選ばれ、出願手続きはインターネットで行うことができます。
難易度、レベルに応じて、以下の級が設定されており、出願者は自由に選んで受けることができます。
- 一級
- 準一級
- 二級
- 準二級
- 三級
- 四級
- 五級
一度試験に合格すると、英検などと同じように効力は永久に続きます。
DELF DALF
DELF、もしくはDALFは、「Diplôme d’études en langue française」及び「Diplôme approfondi de langue française」の略称です。
なんで二つあるの?と疑問に思うかもしれませんが、ふたつの違いはフランス語の習熟度の違いであり、問題の出題形式などに大きな違いはありません。
こちらは国際教育研究センター、CIEP(Centre international d’études pédagogiques)が、フランス語を母語としないフランス語学習者に対して行なっている試験、ディプロムつまり、フランスの機関を中心に行われています。
そのため、出題文や試験の注意事項は仏文で書かれ、日本語の表記は見受けられません。
日本では6月ごろに行われる春試験と、11月ごろに行われる秋試験があります。
試験の場所は、CIEPが認可した場所のみであり、日本では札幌、仙台、東京、横浜、名古屋、京都、大阪、徳島、福岡のみで行われるため、地方在住の方は注意が必要です。
出願も基本的にこちらの受験センターに足を運び直接紙に書いて窓口に提出という形になっています。
2021年から、出願、受験票の印刷がインターネットで行えるようになりました!
母国語がフランス語以外の人で、フランス語で勉強したり、就労したりしたい人が取得する試験ということですね!
難易度、レベルに応じて、欧州共通基準である級が設定されており、出願者はそれぞれを自由に選んで受けることができます。なお、特定の級を受験するために、それ以下の級を受験する必要はありません。
つまり、最初から最高レベルである、C1を受験することができます。
- DELF A1
- DELF A2
- DELF B1
- DELF B2
- DALF C1
- DALF C2
英検などと同じように、効力は一度取得すると永久に続きます。
TCF
TCFは「Test de Connaissance du Français」の略称です。
こちらも、国際教育研究センター、CIEPが考案し、フランス国民教育省が運営を行なっています。
日本では、前期のCIEP認可の試験センター各地で、一年に3回から5回ずつほどの頻度で行われています。こちらも、出願は直接窓口で行います。
こちらのTCFには、レベル、級は存在しません。英語のテストのTOEICと同様に、自分の成績が欧州共通基準に乗っ取って、「A1、A2、B1、B2、C1、C2」のようにスコアとして発行されます。
目的に応じて、選択式でリーディングとリスニングのみの「必須試験」と、それに筆記試験と面接を加えた「補足試験」を受験することができます。
しかし、「仏検」や「DELF DALF」のような合格するタイプの試験ではなく、自分の能力を測る試験であるため、有効期限が2年と設定されています。
受かる、受からないの試験ではなく、自分の実力を試す試験だから、気軽に受けることができます!
2021年度から、TCF試験をあらかじめ予約することで好きな日取りに受験をすることができる「TCF SO」が開始します!日取りを気にせずに資格試験を受けたい方には嬉しいニュースです!
各試験を項目別に比較
仏検…リーディング、リスニング、ライティング、(スピーキング)
DELF, DALF…リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング
TCF…リーディング、リスニング、(ライティング、スピーキング)
実際には、フランス語表記である、Compréhension écrie(読み、リーディング), Compréhension orale(聞き取り、リスニング), Expression écrie(書き、ライティング), Expression orale(喋り、スピーキング) のようになります。
仏検は、準二級以上から面接が設定されていて、筆記の特徴としては、会場に流された音声をそのまま正しいスペルで書きとる「ディクテーション(dictée)」が含まれていることです。
DELF, DALFはどの級にも面接が置かれていて、筆記問題は限られた選択肢から選ぶ選択問題や、文中から特定の単語を抜きだす単語回答、文章を要約する短文解答など幅広いタイプの問題があります。
TCFの必須試験には面接はなく、全てマーク式の回答となります。補足試験として、口頭表現(面接)と文書作成(筆記)の試験を必要に応じて受けることができます。
「TCF」が一番試験項目が少なく、その後に「仏検」、「DELF DALF」が続きます。
「DELF DALF」は初級からでも面接試験があるので注意が必要です。
各試験を項目別で比較!
各試験で重視される能力で比較
仏検…文法事項、単語知識が重要視され、聞かれた仏文を日本語できちんと理解できるか測るテスト
DELF DALF…フランス語を用いて生活が行えるかを重点的に見るテスト
TCF…フランス語の文法事項に重きを置いたテスト
仏検とTCFは、主にフランス語をきちんと理解して文法的に間違えていないかなどを図る問題が多いです。逆にいうと、受験者本人が自分の意見として考えていることを聞くような問題はなく、模範回答にいかに沿えるかが重要なテストになります。日本人にとってはこちらのタイプのテストの方が馴染みやすいでしょうか。
それに対して「DELF DALF」は、文法事項よりも、受験者がフランス語の使用にいかに慣れているかを図る問題が多く、日本人には少し難易度が高いような問題が並びます。
特にライティングやスピーキングではその傾向が強く、採点の基準として文法的に正しいことに加えて、論理的な応答ができているかも配点を大きく占めます。文法的に正しくても何を言っているかわからない回答と、文法ミスが目立っても論理的である回答が同点である可能性があるということです。このことは、受験する上で頭に入れておくと有利に動きます。
同じレベルの試験を受験するのならば、フランス語以外に論理的思考力、展開力を必要とする「DELF DALF」の難易度が高いと言えるでしょう。
各試験の受験料を比較
仏検…
- 一級:13500円
- 準一級:11500円
- 二級:9000円
- 準二級:8000円
- 三級:6000円
- 四級:5000円
- 五級:4000円
※仏検は隣り合う級を併願することができ、その場合1000円引きになります。
例えば、四級と三級の合計金額は通常、11000円ですが、併願をすることで10000円になります。
DELF DALF…
- DELF A1: 9,900円
- DELF A2:11,000円
- DELF B1:13,000円
- DELF B2:15,000円
- DALF C1:20,000円
- DALF C2:22,000円
TCF…
必須試験:12000円
補足試験:12000円
同レベルの試験で比較すると、仏検よりも、フランス国内機関が行う試験(DELF DALF, TCF)は割高になっています。
全国的に開催されている仏検に比べて、DELF DALFやTCFのようなフランス側で主催される試験はは、開催されている会場が限られています。
そのため、地方在住の方は資格自体の受験料に加えて、交通費、宿泊費が加わることを念頭においたほうが良いでしょう。
各試験の使い道を比較
仏検…日本国内の就職活動、大学などの単位互換、キャリアアップ、留学
基本的に仏検は、日本国内でのみ利用することができます。フランス語圏と取引をしていたり、関連のある日本企業で働きたいと考えている方は有用です。英検と同じように、「○級」という形で出るので、フランス語資格に馴染みのない方でもわかりやすく、どの程度のレベルであるか理解することができます。
また、一級を保有していると、日本政府観光局(JNTO)が実施する国家資格、「通訳案内士」の外国語筆記試験(フランス語)が免除されます。
また、日本の大学の中には、一定の級を取得していると単位として認められたり、交換留学の学内選考の要件として利用することができます。私の通っている大学では、仏検○級を取得すると、授業に出席していなくても評価が自動的にAになるという授業がありました。
大学の「交換留学」の応募に、仏検を利用することができる場合が多いです。というのも、大学の交換留学の場合、受け入れを行う大学が合否を判断するというよりも、自分が日本で所属している大学の学内で選考を行い、派遣されることになるからです。
日本にいながら、フランス語を使う活動をしたいという場合におすすめ!
DELF, DALF…フランス語圏での就職、国際機関での活躍、移住
DELF, DALFは、フランスが認めたディプロムであり、国際的にその効果は発揮され、フランスに移住をするときなどにも利用することができます。また、現地就職したり、現地の学校に学位習得のために入学をするときにも利用ができます。逆に、日本でしか使われていない仏検はこれらのような利用の仕方はできません。
また、こちらも日本の一部の大学では、単位として認めています。
フランス語に対する国際的な裏付けを求める場合に有効!
TCF…フランスへの留学、移住、その他
TCFは、フランス国内での留学に利用することができます。また、カナダなどに移民する際にも利用することができます。
DELF DALFと同じように、フランス側で発行している資格であるため、日本のみでしか使えないということはありませんが、場合によってはDELF DALFのみを条件にしている機関もあるため、注意が必要です。
その他の使い道として、早急になんでもいいからフランス語の資格が必要であるという場合に、TCFをより受けやすくした試験である、TCF SOという試験を受けることで、試験日の決まっている他の試験よりもフレキシブルに対応することができます。
まとめ どの資格を選べば良いのか
仏検…
- 気楽に自分のフランス語レベルを測ってみたい。
- 日本式のテストを受けたい。
- 交換留学に行きたい。
DELF, DALF…
- 将来的に海外で働きたい。
- 国際的に使える資格が欲しい。
- フランスに住んでいて、フランスに慣れている。
TCF…
- フランスに将来的に正規留学したい
- 筆記には自信がない
- 自分のフランス語力を、段階で測りたい
- 早急にフランス語資格の証明書が必要である
以上、日本で受験することができるフランス語資格をまとめました。
フランス語のどの試験を受けるかは、なぜ自分が資格を必要とするのかを認識した上で、最も有用であると考える資格試験を選ぶようにしてみましょう
フランス語を勉強しているけど、どんな資格を取ればいいんだろう。。。